人工多能性幹細胞 (iPSCs)は、癌・心血管・神経変性などの様々な疾患を模倣するために選択される細胞種となってきました。多能性の状態へ向かう体細胞 (例えば線維芽細胞) の核リプログラミングは、細胞の代謝の要求性に劇的な変化を与え、酸化的リン酸化から解糖への代謝のシフト (癌細胞様の代謝シフト、Warburg shift) を誘導します。
さらに、がん細胞や幹細胞などの急速に分裂している細胞が、通常酸素条件下でさえ、解糖による代謝へと優先して切り替えるだろうことが示されてきました。この代謝のスイッチは、アミノ酸などの細胞増殖の中間体の多くの供給を可能にし、酸化的ストレスに対する保護を提供し、そしてNADPHの生成を促進します (Ma et al., 2013)。
近年、がん細胞と同様に、iPS細胞の代謝シフトは多能性のアイデンティティを確立する際に非常に重要であると提案されてきています。しかしながら、この代謝シフトを軽減する因子は明らかにされていません。細胞のリプログラミングに関するメカニズムの研究は、多能性の誘導の研究における応用だけでなく、がん細胞の進行の研究への応用ももたらします。このアプリケーションノートは、iPS細胞によって示された代謝シフトを検討するために、XF技術を利用した論文事例を説明します。
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