前臨床研究における重要な視点:実験小動物の麻酔とバイタルモニタリングの最新情報
前臨床研究において用いられる実験小動物、特にマウスやラット、ハムスターといった小型げっ歯類に全身麻酔を施す際は、過麻酔や体温低下による死亡事故や覚醒後の予後不良のリスクを抑制するために、心拍数や呼吸、体温といったバイタルサインを適切にモニタリングすることが推奨されています。
本セミナーでは、国立国際医療研究センター研究所動物実験施設 岡村匡史 先生をお招きし、基礎研究における小型げっ歯類の麻酔法とその有用性についてご講演いただきます。また、弊社プライムテックが取り扱うバイタルモニタリングソリューションについてもご紹介いたします。
▼演題1
『小型げっ歯類の麻酔法〜実験目的に沿った麻酔薬の選択〜』
岡村 匡史先生 (国立国際医療研究センター)
(要旨)
全身麻酔は、薬物を中枢神経に作用させることで、可逆的に鎮痛、筋弛緩、意識の喪失ならびに自律神経反射を喪失した状態にし、手術時の肉体的および精神的苦痛を取り除くために実施される。麻酔に用いる薬物は全ての作用を均一に持っていないため、通常は作用点が異なる様々な鎮静薬・鎮痛薬などを併用する。また、麻酔薬は少なからず実験データに影響を与えることから、実験者は実験目的、手術の侵襲度を考慮し、適切な麻酔薬を選択する必要がある。
注射麻酔薬は麻酔薬の投与後の麻酔深度調整が難しいとされてきたが、作用時間が短い麻酔薬や拮抗薬を使用することで、麻酔深度の調節も比較的容易になった。吸入麻酔薬は、マウス・ラット専用の気化器が開発されたことでより使いやすくなり、X線CT装置や超音波装置を用いた撮影時の不動化、さらには麻酔下で採血やtail biopsyを行うと、動物への苦痛を軽減するだけでなく、作業効率が高まり、かつ咬傷などのリスクを軽減することができる。
実験目的に沿った麻酔薬を選択するためには、各麻酔薬の特徴を知っておく必要があり、本セミナーでは、マウス・ラットで使用される麻酔薬について、実例を挙げて概説したい。
▼演題2
『実験小動物専用にデザインされたバイタルモニタリングシステムの活用』
田邉 充樹 (プライムテック株式会社)
(要旨)
小型げっ歯類における最新の非侵襲モニタリングシステムを2つご紹介します。これらの革新的なモニタリングシステムにより、小型げっ歯類の安全な麻酔管理、麻酔下および覚醒下の生理学計測における正確性と妥当性を高める活用事例についてご紹介します。
【演者】岡村 匡史先生 (国立国際医療研究センター)・田邉 充樹 (プライムテック株式会社)
[ライブ実施:2023/11/16]
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