舞台裏:オリゴ合成チームがアッセイの信頼性にどのように貢献するか

 Behind the scenes: How our oligo synthesis team contributes to the reliability of your assays

コンタミネーション汚染のリスクを除くために
PCRは現代の分子生物学において、間違いなく最も有効な技術の一つであり、驚くほど微量のDNAを検出できる感度を持ちます。しかしながら、この方法での感度は最も大きな課題の一つでもあり、わずか数分子のDNAを検出する場合、不注意なコンタミ汚染は誤解を招くデータを与える可能性があります。コンタミ汚染の問題は、SARS-CoV-2検出のような分子診断検査用のqPCR反応において特に重大であり、たとえ単に長いDNA断片であっても、鋳型DNAがコンタミ汚染されると、偽陽性の結果を生み出す可能性があります。

コンタミ汚染のリスクは、PCR日常的に使用する科学者であれば驚くことではありませんが、このリスクがオリゴヌクレオチド合成の注文にどのように影響するかは考慮したことがないかもしれませんIStock 000005335782Large
55 ntより長いオリゴ(ロングマー)は増幅のための鋳型となる可能性が高く、また、ある合成注文からの微量のオリゴが(エアロゾル化を介して)別の合成注文をコンタミ汚染するリスクがわずかではありますが存在すると認識しています。そのため、LGC Biosearch Technologies社(以下、LGC)では55 ntより長いオリゴの合成注文には、非常に厳格なスクリーニングプロセスがあります。

 

お客様のアッセイの品質と信頼性を危険にさらす可能性があるオリゴ合成のご注文はすべてお受けできません。通常、LGC社では長いポジティブコントロールテンプレート(未修飾オリゴ)は合成せず、その他の長い修飾オリゴは、LGC社が提供する他のqPCRアッセイをコンタミ汚染する可能性を考慮し、慎重にスクリーニングしています。

注文されたロングマーの合成を制限する背景

LGC社がロングマーの合成するか否かを評価する際に考慮する主な要素は、PCR増幅の鋳型として機能する可能性です。したがって、もしあなたの「ロングマー」の内部に色素やクエンチャー、他のポリメラーゼをブロックする修飾がある場合、増幅の鋳型として機能しないため、LGC社はそのロングマーを合成することができます。

同様の考慮事項は、バーコードやNGSプライマー、アダプター配列、KASPモチーフなど、いわゆる「機能的」配列にも当てはまります。例えば25 ntKASPモチーフや25 ntのターゲット配列のオリゴなど、これらのモチーフの外側のオリゴの長さだけを考慮し、合成します。

さらに、長いオリゴアプタマーも合成できます。これらのオリゴは増幅テンプレートにはならず、他のqPCRアッセイを危険にさらすことがありません。

LGC社では、BLAST検索を含む追加での分析や最近のオリゴ合成注文に対するスクリーニングを行い、LGC社が販売する他のアッセイに対するロングマーのリスクを評価し、お客様のアッセイの品質を保証するためにリスクの低いロングマーのみを合成します。

しかしながら、SARS-CoV-2の鋳型となる可能性のあるオリゴや一連のオリゴ断片など、リスクが高いため合成しない配列もあります

 


高品質で妥協のないオリゴを継続的にお届けするために、SARS-CoV-2検査の鋳型となる可能性のあるDNAやRNAの鋳型、ロングマーは合成しません。

このアプローチは、お客様のCOVID-19ラボワークの完全性を保護するために厳密に取られていることをご理解ください。

これは、SARS-CoV-2検査用のポジティブコントロールオリゴを合成しないことを意味しますが、LGC社が最近買収したSeraCare社を通じて、ポジティブコントロールパネル、AccuPlex™ SARS-CoV-2 Verification Panel™とAccuPlex™ SARS-CoV-2 Reference Material Kitを提供します。

これらのポジティブコントロール製品は、LGCのオリゴヌクレオチドとは完全に別の施設で製造されており、3,000マイル以上離れているため、オリゴ合成のご注文にコンタミ汚染のリスクはありません。

ロングマーだけがコンタミネーションの汚染源ではない

もちろん、ロングマーはPCR反応におけるコンタミの汚染源の一つに過ぎませんが、LGCのチームはこのリスクを可能な限り低く抑えるように努力しています。いつ、どのようにして偽陽性が出現したかを確かめることはできませんが、PCR反応を行うラボでのキャリーオーバーコンタミネーションが通常の原因であり、PCR産物のエアロゾル化が最も可能性の高い原因であることが分かっています。

優れた結果はともかく、実験室の環境そのものがコンタミ汚染され、周囲の環境が予期せぬテンプレートとの共通の接触点になることがあり得ます(図1)。このような状況では、可能であれば完全に別の場所で反応を準備し、オリゴのストック、付随試薬、消耗品を疑わしい環境に決して持ち込まないことが唯一の解決策で。さらに、反応液の調製エリアは、すべての表面とピペットを含め、10%漂白剤で注意深く洗浄し、可能であれば消耗品の新しいアリコートを入手することを推奨します。うまくいけば、汚染のリスクを減らすことができるでしょう

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   図1. 環境由来のコンタミネーション汚染とはどのようなものか。

結論:お客様の研究のリスクを予測し、軽減します

LGC社では、より安全な世界のために科学を活用することに真剣に取り組んでいます。オリゴに代表される分子診断のための重要な試薬を提供するという私たちの使命に関して言えば、たとえ、お断りしなければならないことが時にはあったとしても、私たちが提供する製品とサービスに完全な信頼を寄せていただけるよう努力しています。

 

Originally published : 2023/03/22 

 

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